トランスってなんだ?

トランスってなんだ?

トランスミュージックというとあんまり聞き慣れない人もいるかもしれませんが、これはハウスミュージックから派生した音楽の一種になっています。BPMという音楽の速度はおおよそ130から150くらいの店舗で、ハウスミュージックが120BPMの速度のものが多いことを考えると若干早めのテンポの曲が多いと言うことになります。このトランスという命名ですが、うねるような旋律とそのリズムやメロディーがあたかも脳内の感覚が幻覚や催眠を催す「トランス状態」に誘うかの様な様式になっていることにちなんでいます。特にこのトランスと呼ばれている音楽は、主にクラブシーンやレイヴパーティー等でDJらによってターンテーブルまたはCDプレイヤー等を用いて演奏されています。

なおこのトランスミュージックの中には2つの大きな流れがあるのですが、実際にそんなトランスミュージックの歴史について少しだけ学んでみましょう。

トランスの歴史

ダンスミュージックとしてのトランスは、1980時代中期にアシッド・ハウスから派生しました。このアシッドハウスはベースシンセサイザーRoland TB 303とドラムマシーンRoland TR 808などを用いて演奏することが多く、今ではこの機材はアシッドハウスの代名詞として紹介される伝説的な機材となっています。アナログシンセサイザー「ローランド・TB-303」のツマミをランダムに動かすことによって偶然生み出されたサウンドが、あたかもアシッドすなわちLSDの幻覚作用を思わせる幻想的なサウンドであったために、この名前がついたといわれているのですが、そうしたハウスやテクノから派生した音楽がこのトランスだと言うわけです。

今のトランスミュージックは主に西ヨーロッパ圏を中心に流行しているトランスと、世界規模で流行しているサイケデリックトランスがあって、これらは互いに影響を与えあいながらも異なった変化を遂げてきています。特にドイツのフランクフルトで誕生したトランスは隣国ベルギーのニュービート等から強く影響を受け、リズミカルなドラムパターンや叙情的なメロディを持っていて、今のトランスミュージックの基本を作りました。また1990時代初頭からインド西海岸のゴア地方に持ち込まれたジャーマンやベルジャンを初めとしたハードコアテクノやジャーマントランス等が、1993年から1994年頃ゴアトランスに発展していったのです。

特に日本では1990時代後半に小室哲哉率いるglobeがこのジャンルの特性をJ-POPに導入し、一般にもトランスというジャンルを認知させることになっていきました。ですので、比較的日本人にもなじみがあるダンスミュージックではあるのですね。

トランスから派生したもの

そんなトランスミュージックからさらに細かく派生し、小ジャンルを作り出したトランスミュージックもあります。ここではそんな細やかなジャンルとその区別についても少しだけ紹介していきます。

アシッドトランス(Acid Trance )
 アシッドテクノから派生した音楽で、当時テクノやハウスで定番の機材となっていたローランド製TB-303ベースシンセサイザーのうねった音でメロディーや展開を作っていたのが特性です。メジャーなアーティストはハードフロア、アート・オブ・トランス等が上げられます。
ゴアトランス
 ヒッピーの聖地、インドのゴア地方で誕生し発展したトランスです。イスラム音階等の民族音階を用いたメロディや、宗教を思わせる民族的なパーカッションや音声をサンプリングし、有機的で民族的な楽曲が多いのが大きな特性です。1990時代前半から後半にかけて大きく流行したが、現在ではゴアトランスから発展したサイケデリックトランスに取って代わられた感があります。なお、当時シーンを牽引したアーティストはイスラエル出身が多かったといいます。
サイケデリックトランス
 1990時代後半にゴアトランスから派生したジャンルで、ゴアトランスと比べるとよりハードかつ無機質で金属的な質感の音色が多用されていますが、明確な境界はありません。2000年以降に世界各地で流行の兆しを見せ、イスラエル、イギリス、フランスを始め、オーストラリア、南アフリカ、ロシア、そして日本等のレーベルからCDがリリースされています。メジャーなアーティストはGMS、TALAMASCA、SKAZI、INFECTED MUSHROOM、Man With No Name、The Infinity Project、Kox Box、Hallucinogen、Shpongle、Astral Projection、ジュノ・リアクター等がいます。
ユーロトランス (Euro Trance )
 主にヨーロッパを中心に展開されているトランスミュージックです。かなりハードなキックとベースライン等ハードコアテクノの派生とも言える要素も含まれていますが、比較的音数が少なくアップテンポでメロディアスなメロディーラインが特性と言えます。
ダッチトランス(Dutch Trance )
 1990時代後半に派生したユーロトランスの1ジャンルで、ローランド製JP8000/8080シンセサイザーに搭載されたSuper Sawオシレーターの音色を多用した楽曲が多くなっています。またそれを利用した壮大でメロディアスな楽曲が代表的です。1998年にリリースされたSystem F Out Of The Blueで西ヨーロッパを中心に流行したが、主要なアーティストの殆どがよりプログレッシブな音へシフトしたこともあり現在は下火です。なお、System Fを始めとしたメジャーなアーティストの殆どがオランダ出身ですので、オランダを中心に流行し始めたことからダッチトランスと呼ばれていてています。しかしスタンダードになってしまったが故に特性を示すジャンル名としては形骸化してしまっています。メジャーなアーティストはFerry Corsten、Armin van Buuren、Tiësto、Rank 1などがいます。
プログレッシブトランス(Progressive Trance )
 このジャンルはテクノやハウス等他のジャンルとクロスオーバーする動向が強く、プログレッシブハウスとの明確な線引きもないためしばしば混同して呼称されます。プログレッシブ(進歩的)の名の通り、既存のカテゴリーにとらわれない実験的でジャンルレスな楽曲が多いのが特性です。また海外ではこれらのジャンルを総称してプログレッシブダンスミュージックと呼称することもあります。括る言葉はまだ生まれていないがプログレッシヴトランスというジャンル内でも2つの型に分かれます。1つはSasha、 John Digweedらプログレッシヴハウスの延長線上にいる型。もう1つはMarkus Schulzに象徴されるユーロトランスと密接に連携してきた型で、こちらは2004年以降増えており今日のメインとなっています。メジャーなアーティストはSasha、Sander Kleinenberg(ハウス寄り)、Markus Schulz、Gabriel & Dresden(トランス寄り)等。
エピックトランス(Epic Trance )
 1990年後期日本のクラブ誌LOUDの執筆DJらにより専ら使用され始めたのが国内でのターニングポイントで、その軌跡は当時のインディーズ版やメジャー版の出版の際のライナーノーツでも引用を確認できます。また当時SAWオシレーターの音色からシンセサイズしたピチカート音が多様され、これらもエピックトランスっぽいと云われた。2000時代初頭より現在定義されているような、いわゆる日本のクラブシーンでプレイされている壮大かつ荘厳なトランスの総称として根付いた。後者は日本ではカテゴリー名としてしばしば用いられるが、海外ではどちらかというと曲の特性(壮大・荘厳)を表現する際によく使用されています。(例:Epic, Melodic, Uplifting等)
「エピック」と呼称される音楽ジャンルが存在しますが、同じく壮大・荘厳といったような曲の特性から由来してこう呼称されていますが、全く別の音楽ジャンルとして区別されます。
ジャーマントランス(German Trance )
 かつてジャーマン系DJの曲はこのように総称されました。時期としては、90時代前半の曲を指す場合が殆ど。メジャーなアーティストはPaul van Dyk、Humate、Cosmic Baby、Jam & Spoon等がいます。
テックトランス(Tech Trance )
 
2000年頃にハードトランスのスタイルの1つとして作られ始めたもので、2004年にエピックトランスを作っていたアーティストの一部がこちらのジャンルへシフトしたことでシーンが隆盛し、市民権を得た比較的新しいトランスミュージックです。テクノの持つミニマルな展開やリズパターンを強く意識した楽曲が多くて、プログレッシブトランスと共に現在西ヨーロッパでメインジャンルの1つとなっています。テックハウス、ハードトランスから転向したDJも多いです。メジャーなアーティストはTiësto、Marco V、Randy Katana、Mark Sherry、John Askew、Sander van Doorn等がいます。
イビザトランス(Ibiza Trance )
 
スペインのリゾート、イビサ島を中心に発信されるユーロトランスの1ジャンルです。ピアノやボーカル、アコースティック・ギターの入った楽曲が多くて、ハウス的な要素も持ち合わせているためバレアリックハウスと呼称されることもあります。メジャーなアーティストはATB、Fragma、Solar Stone等がいます。
テックダンス(Tech Dance )
 
2007年にDJ Yoji Biomehanikaが提唱した「トランスなんかよりもテッキーでグルーヴィーな」楽曲群を指します。海外ではローリングテクノとも言われることもあります。メジャーなアーティストはYOJI Yoji Biomehanika、dj REMO-CON。第二世代アーティストとしてNIGHT LIBERATOR、OVERFLOW、SHIBEE、NI-21等がいます。
ロシアントランス(Russian Trance )
 ジャンル名ではなくジャーマントランス・ダッチトランスと同意でロシア系のDJの曲の総称です。日本ではあまり認識されていないが、近年のロシアのクラブシーンの隆盛は著しくなっています。一過性の現象に終わるかと思われた2001年のPPKの登場から3年を経た2004年、Bobina、Vadim Zhukovという新星が欧州のクラブシーンへ進出しました。両者共にU.K. オランダの複数のレーベルと立て続けに契約、その後殆どのロシアのDJが欧州進出を果たしています。また、プログレッシヴトランスシーンの拡張も近年顕著です。

まとめ

さて、このページではトランスミュージックについて詳しく説明して参りました。特にトランスミュージックの特徴としていえるのはそのなんともいえない浮遊感と感覚に作用する音楽だということで、個人的には好きな音楽の部類に入ります。ただ一方で、人によってはあまり好きで無い人もいるかもしれません。特になじみ深い感じの音楽とはかなり離れたものになっていますので、そんな人にとっては受け入れがたい音楽ということになるかと思います。

そんな人にはトランスミュージックよりもより親しみやすいハウスミュージックがオススメです。これはほとんどの人が意識せずに聞いている可能性のある音楽で、今もっともポピュラーなEDMのジャンルの一つだといえると思います。次のページではそんなわけで、ハウスミュージックについてそのジャンルの成り立ちと現在の動向について解説していこうと思います。